今回、ご紹介するコミュニティは「週末はアートツアー」!美術館やギャラリーを集団で廻ろうというツアーです。解説をしてくれるのは、アートテラーのとに~さん。主催者のとに~さんにお話を伺うと共に、ツアーに密着してきました!

 

アートを面白おかしく語れる人がいても良いんじゃないか


僕がアートに興味を持ったのは、大学4年生の時。当時はお笑い芸人をやっていたのですが、相方に「フェルメール《画家のアトリエ》栄光のオランダ・フランドル絵画展」という展覧会にタダで連れてもらったんですね。そこで相方が絵を観てボケて、僕がそれに突っ込んだりして(笑)。その時に「美術って凄く面白い」と思いました。

鑑賞中に、オランダの農民の風俗画の展覧会を観ましたが、人情喜劇的なところがあるんですね。僕はネタをつくる側なので、笑いをとろうとしているのが分かったんですけど…それをみて誰も笑ってないんですよ。こんなに面白いのに、ほとんどの人にその意図が伝わっていないなんて、芸人として悲しい気持ちになりました。

美術の楽しみ方は人それぞれだし、鑑賞の仕方に正解はありません。でも、美術を面白おかしく伝える人がいても良いじゃないですか。美術評論家や学芸員さんの説明は美術中級者~上級者向け。正直、僕が解説した方が面白いんじゃないかと思いました。美術に興味が無い人にも面白い!と感じてもらえるようにしていきたいと思ったんです。

それがアートテラーになろうと思ったきっかけです。

アートツアーを開催する一番の理由は、一人でも多くの人が、美術館に足を運ぶきっかけをつくること。そして、周囲にアートの話が出来る人はなかなかいないと思うので、アートの話が出来る場(コミュニティ)を作ること。前提として、東京は美術を楽しめる街であることが伝わるよう様々なモデルケースを提唱・提案することがあるのですが、そこから派生して、一般の方の意見を聞き取れるので、仕事をしている僕自身にとってもありがたいです。

コンセプトは、『週末は皆でアートを楽しもう!』


どこよりも楽しいアートツアーやアートイベントをお届けするコミュニティだという自信があります。 美術は1人で楽しむのも勿論OKですが、 色々な方と感想や感動を共有することで、新たな発見や人脈も生まれて、より楽しいものとなりますよ♪

アートツアーは毎週土日、祝日のいずれかに開催しています。東京のほかには、千葉、神奈川、埼玉、箱根など日帰りで行ける美術館に行きます。内容は西洋美術や日本美術など、さまざま。

参加者の7~8割は30~40代の、美術はあまり詳しくないけど興味があるという女性です。感動をシェアしたいという気持ちが強いのではないでしょうか。(もちろん、男性も大歓迎!)「皆でワイワイ楽しみたい」といった「とに~さんの話が面白いから聞きたくてきた」といった参加者の方が多い。

とはいっても、初めての方は何かと不安なことが多いもの。そこで、ツアーを開催するにあたっては、「はぐれている人はいないか」、「1人でポツンとしている人には声をかけよう」など、気配りを大切にしています。僕だけでなく、常連さんたちも率先してサポートしてくださるので、いつも助けられています。

9年間、休んだことは1度もありません。

アートツアーに同行して


13時に用賀駅改札で集合して、皆で世田谷美術館に向かいます。本日の展覧会は、「ボストン美術館パリジェンヌ展」!

期待を胸に、歩いて向かいます。美術館に行く途中に、建築物の解説があったりしました。

 

世田谷美術館に着くと、とに~さんによる見どころの解説がありました。

「主にパリジェンヌを描いた作品、衣装、写真の3つがメインとなって構成されている展覧会です。ボストン美術館というとアメリカの美術館ですが、アメリカ人はフランス人に憧れがあり、パリの流行を取り入れたりしていました。中でもマネの『街の歌い手』は修復後初の公開です。ネズミ色のドレスを着ていたと思われていましたが、スカートが青みがかった上品なストライプ柄だったのです。また、ドレスの見せ方も斬新です」。

 

なるほど~。期待が高まります!館内は自由行動なので、さっそく観始めました。

 

序盤は家事をしているようなステレオタイプの女性が中心でしたが、だんだんと服装が身軽になったり、職業を持つパリジェンヌが出てきたりと、パリジェンヌが開放されていく様子が見てとれました。

 

マネの『街の歌い手』はそんなに感動しませんでしたが、なるほど、ラストのバレンシアガなどのドレスの展開は、現代にも通用するセンス。思わず見惚れてしまいました。

 

さて、一通り館内を一周したら、カフェに参加者が集まってお茶タイム。初めに自己紹介をしました。

 

A:知人がこのツアーに参加したというのを聞いて、とに~さんのブログを探して申し込みました。

 

B:Aさんの友達です。ボストン美術館には行ったことがあるのですが、量があり過ぎて…。この展覧会に行きたいと言ったら、ツアーがあると聞いて申し込みました。仕事は美容関係です。

 

C:私はmixiで知って申し込みました。美術は好きですが知識がないので、こういうツアーだとより楽しめるかなと思って。以前は世田谷美術館に来たことがあるのですが、激混みで…。今日はゆったり観られて良かったです。

 

D:とに~さんのツアーに何年も参加しています。用賀に住んでいますが、世田谷美術館に来たのは初めてです。

 

E:とに~さんのブログを見てきました。スケジュールがなかなか合わなかったのですが、やっと参加できました!私も知識がないので、美術館に1人で行くのに抵抗があります。今日は美術が好きな人と気軽に交流したいなと思って参加させていただきました。

 

F:私は趣味で絵を描いているのですが、何らかの参考になるかなと思って来ました。世田谷美術館に来たことはありますが、2階を観たのは初めてです。コンパクトでまわりやすく、特に版画が良かったです。

 

自己紹介が終わった後、それぞれ自分の一番気に入った作品を紹介して、とに~さんがコメントを付けました。

 

私の場合はこんな感じです。

 

稲垣:サージェントの「チャールズ・E・インチズ夫人」が現代にも通じる美しさで良かったです。明治以前の日本画の美人画は美人に感じないのに、同時代の西洋画の美人画はなぜ美人に感じるのでしょうか?

 

とに~:日本画の場合は明治以降、世界の人々の顔を見て美の平均値が変わりましたが、西洋では美人が変わらない。だから、現代の人が見ても美人に思えるんです。

 

なるほど。

 

トニ~:初めて観る方には各美術のポイントが分かって良かったと思います。ところで、皆さんはパリジェンヌに憧れを持っているんですか?

 

A:ある程度の年齢以上の人にはオシャレだと思います。でも、20代の人にとっては憧れじゃないかも…。むしろ、現在はパリジェンヌの方が日本のカワイイを取り入れていると思います。書籍「パリジェンヌは10着の服しか持たない」は断捨離の視点から注目されたんだと思います。

 

MI:男性にとっても憧れじゃないです(笑)。

 

などなど、お茶会は盛り上がりました。最後にトニ~さんオススメの美術展を3つ。

 

とに~:僕の今のオススメは、ベラスケスの2メートル越えの作品を含む7点が来日する「プラド美術館展」、珍しいロダンの大理石像が来る「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」、金沢の「スイミング・プール」で知られるレアンドロ・エルリッヒの最新展「レアンドロ・エルリッヒ展」ですね。

 

なるほど、チェックしてみます!

 

芸人時代に培った独特の面白トークで、美術の魅力を分かりやすく伝えてくれる週末アートツアー。今まで美術に興味のなかった人ほど、参加すればその魅力にハマっちゃうかも!?みなさんも是非、お気軽に参加してみてくださいね!

 

文・撮影=稲垣有紀