いま、ぶつかっている人生の課題や疑問。
そんなことを頭に置きつつ、年齢を足したら100歳になるような先輩のキャリアを、若手が丸裸にするチームインタビュー。

自分の迷いを吹っ切りたい!そんな思いが”見え見え”なものの、先輩にとっても新たな気づきや人生のちょっとした棚卸しになれば。
第1回は埼玉工業大学教授・小寺昇二さん(62)の人生をインタビュー。

目の覚める仕事、難しい仕事が好き


30代フリーランス——やっぱりお仕事が好きですか?

小寺——そうですね、仕事は全然好きですね。面白くないことを面白くやるのが好き。やっぱり主体的にやるのが一番面白い。
仕事で、100%の仕事をしても面白くない。「目の覚める」仕事をしたいと思っています。ほかの人たちの目が覚めるようなことを、と思ってやっています。

そしたら、アプローチが違うんですよ。普通のアプローチではないのですよ。

30代フリーランス——何に一番燃えるんですか?

小寺——何ですかね、人が解決できないこととか、難しいこととか。優しいことが苦手なんです。

小学校の時に足し算で問題が100個あって、3つ以上間違えたら、もう一回最初からするという、延々繰り返すドリルがあって、すぐに間違えてしまっていた。
どうしてかと言うと、途中から気が抜けるんです。ほかのことを考えてるから、なかなか集中できない。

今まで楽な仕事を振られたことがない、ひたすら大変な仕事。自分としても人がどうやったらいいかが分からない仕事をやりたい。

金融の若いころから、日経新聞は隅から隅まで読んできた。そうすると、1日分で新書一冊分くらい。それをひたすら自分の中にストックして、365かける30年で約1万冊コツコツと自分に課してきたことで、30年経って突然、その点が線になり面になり、繋がっちゃったんですよ。びっくりしました。

いままで「無駄走り」してきたのが、いろんなことが分かるようになってきたんだなと。手前味噌的な話で言うと、会社とか30分見れば、その会社がわかる。自分の中にいろんなことが入っているので、こう言うケースはこうとか、こう言うケースはこうとか、なんとなく分かる。

大手旅行会社に入ったのが8年くらい前、最初に入った頃には事情があって何も仕事がなかった。私はお客さまのような状況です。隅にそっといました。そこで、企業の財務部ってこういうのができていないだろうなと、僕が企画書を出した。そうすると、「そうなんですよ」って。
これをやってくださいと言われた(笑)。

スティーブ・ジョブズでいうと、カリグラフィの授業なのですかね。
それは、この年になると分かる。皆さんも、いずれ分かるということがわかりましたね。

司会——本を読んでいると分かるというのは、どういうことが繋がっていくのでしょうか?

小寺——日経新聞の場合には、2つあります。
一つは、世の中これからどうなっていくのか、ということを想像しながら読む。あともう一つは具体的な知識。例えば何という会社は、社長が誰で、どういう経営方針をとっていて、いまどれくらい利益が、という数字。知識として覚えることと、流れを掴む。因果関係でもって覚えていく。

余談ですが、今の大学生って板書した内容を暗記している。
実は、これってすぐに忘れてしまう。例えば、「バウムクーヘンは、黄色いです」を暗記していると、なぜ黄色いかときちんと考えて覚えないと忘れてしまう。
きちんと覚えているやつは、これはどうして? なぜなぜ? という人が多い。
全て因果関係ですね。

なぜ、石油価格が上がるのか? アンテナを張り巡らせて、あ、アフリカでクーデターがあったかもね、が分かってくる。

20代不動産会社経営——今の学生と、小寺さんが学生のときとの違いはあるんですか?

小寺——若い学生でいうと、トップレベルは無茶苦茶優秀、それは情報量と心意気。世界と勝負しようという意思の強い人が多い。昔は起業しよう、という人がほとんどいなかった。せいぜい官僚になって日本を動かす!くらい。その程度だったんです。

司会——大企業だと、ゆるいつながりが少ないと思うんですけど、ゆるいつながりをつくるためのコミュニケーションで心がけや意識されていることは?

小寺——欲とか肩書きとか、ビジネス上の必然だけの付き合いの人は、ぜんぜん必要ない。例えば自分が転職した時に付き合いが続くかというと、そんなことは無いですよ。シンパシーを感じ、生き方に共感するとか、思考するところが似ているとかなると、10年20年の付き合いかもしれない。それは会って話をしていると分かる。

司会——小寺さんと共通の知人というか、私にとって尊敬する広瀬一郎さん(故人)がせんだって亡くなりました。同僚とか自分の同級生が亡くなる時って、どういう気持ちでしたか?

小寺——彼は随分近いところで、大学でも同じ部屋に住んでいましたし、ビジネスもやったりでとっても寂しいですよね。だんだん歳をとってくるとしょうがないです、というのが結論です。

哲学とか宗教とか、本をいっぱい読んできたり、自分でいっぱい考えてきた。無神論者ではあるんだけれども、仏壇と神棚に朝は手を合わせています。輪廻転生を信じて、僕は広瀬くんと次の世でも会えると思っている。自分もいつ死ぬか分からないけど、健康診断はオールAですけどね(笑)。

62歳で楽しい人生を生きてきたので悔いはないです。苦しいけど楽しい人生です。年になったなという考えです。

何が正しいかは、あとでわかる。一生懸命やればついてくる


30代会社経営——いろいろな仕事をしているのですが、この年齢になってどういう方向に動こうかとすごく悩んでいた。自分でやりたいことに集中しようと決めたのですが、やっぱりその選択が正しいのか不安になってきまして・・・。

小寺——正しいとか正しくないとか、なんなんですか?って思います。
検証できないし、正しいか正しくないかって分からないじゃないですか。
正しいと思っていれば、そこ行って、そこで一生懸命やれば必ず活路が開かれるし、その活路というのは、違う何かをやりたい、って思うことも含めて。行動してそこで一生懸命すること、以外ないんじゃ無い?

少なくとも一生懸命やれば、必ずナレッジと言うのは自分のなかに入ってくる。徹底的にそこのことをやったら、何も怖いものは無い。次のことなんて大丈夫。

僕も8社も転職していたんですが、美しくないんです。ただ仲違いしてクビになってやめたりとか、リストラになったりとか。ただ次に仕事は必ずある、というふうに今も思っている。大学も65で定年なんだけど、次の仕事は構想中で、ちゃんと仕事はあるなと思っている。

なぜかというと、世の中で一生懸命やっている人は、ほんのちょっとしかいない。わかります?この感覚。

大企業でも、本当に会社の中で一生懸命やっているのは社長だけ。取締役なんかは、ちょっと甘い気持ちになっている。一般の会社の人でも、こんなに頑張っているのにって言えるのか。

ぼくは、一般的に頑張っている人よりは、頑張れる自信がある。効率的とか、本質的な仕事とか、何が大事でどういうふうなメソッドがいいとか、自分のすべてをかけて、普通にやっている人には勝てる思いがある。まあなんとかなるんじゃ無いですか、これですよね。

30代保険営業——それが分かったのはいつ頃ですか?

小寺——転職してからですね。転職して分かった。
それが明日をも知れぬ時間を過ごしてからです。いつクビになるか、いつ会社が潰れるかという日々をずっと過ごしてくる。そうすると、そういうことが分かってきた。さっきあまり勉強してなかったなと言ってたのは、そういうことですね。勉強してきたつもりなんだけど、全身全霊を傾けて自分はやってこなかったというのが分かった。

例えば、僕はサッカーが下手なんですけど、だけど、今大学生でやったらきっとうまくなれる自信があるんですよ。それは戦術であるとか筋肉をどういう風に使うかとか、メソッドとか理論的にものすごく分かる。それをちゃんとやっている選手っていないんです、アマチュアでは。

そういうのを極めたら、きっと代表にはなれないけど、そこそこのプレイヤーにはなれると。ぼくは体が硬いんですよ、硬いのには理由があるんです。柔らかくするいい方法があるのですけど、それを昔はやらなかった。昔は筋トレもやらなかった。

司会——それは後悔にはならないんですか?

小寺——それは、しょうがないですよね。そんなに自分は一流ではないので、すべて完璧にはできないし、やっぱり本気でやるっていうのは、せいぜい一個か二個じゃないですか。

そういう意味では、後悔ではなくて、そういう風に生きてきて後で振り返ればもっとできたなとそれは時間が経ったからわかってきた、ということ。

30代保険営業——活躍したり、できる人の共通点があれば教えて欲しいです。

小寺——ひとつ、「素直」です。見返りとか弁解とかごまかしたりとか、そういった人はちゃんとしたものにはならない。スポーツ世界もそうですよね。才能がある人はまっすぐ。まっすぐやる人は上に上がっていく

僕は都立西高を卒業して、斜に構えたような人が多いんです。でも、みんなまっすぐなんですよ。そこのところは自分の利点だし、先程の話でいくと、うちの女房も真っ直ぐなんで、そこが30年一緒に居る理由かと。

司会——最後に、20代、30代、40代あたりの皆さんにメッセージを。

小寺——僕が知っている若い人もそうですが、35歳くらいまでは壁がある。35まで必死にやって、次どうしようとか、MBA取りに行ったりとか、勉強したりとかそういうのはあります。

これからはそうではないと思っています。LIFESHIFTはみなさん読んでいますか? 人生100歳時代の生き方に書いてあります。つまり、人生には波が必ずあって、その波は違うんですよ。

それぞれの局面でやらないといけないことがあって、考えないといけないことがあって、キャリアのガンガンに仕事をしている時、会社の中で風をきって歩いている時は全然勉強をしない。アウトプットですね、仕事をしているんだけど出してばっかり。そうではなくって、インプットする時って自分が左遷されたりとかすごく立場が悪いときは、そういう時こそ一生懸命考えるし、勉強しないとと思って勉強している。そういう時にはとにかく勉強して次につながるように無駄走りをどんどんしている。

できればガンガンなっている時も、ただ社内ですごいねって言われるだけでなくて、もうちょっと視野を少し高くして、チャレンジしていなかったようなことに挑戦するのが大事なのではないのではないでしょうか。

宇宙人キャラから45歳で初転職。一生懸命だから繋がる!挑戦の人生に学ぶ ①

宇宙人キャラから45歳で初転職。一生懸命だから繋がる!挑戦の人生に学ぶ ②